DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?社会人なら知っておくべき現代知識
DXという言葉が流行り始め、何をすれば良いのだろうと悩まれている方も多いのではないでしょうか?
経済産業省の「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」(2018年9月7日時点)によると、システム刷新を進めないと2025年以降には年間最大12兆円の経済損失が生まれると言われています。
今回は、このような今後の経済発展にかかわるDXの意味や定義についてご説明し、実際にDXに取り組んでいる企業の実例をご紹介します。
以下は今回取り扱う項目です。
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DXの意味、定義について
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DX化に取り組んでいる企業の例
- DXの導入プロセス
この記事を読めば、DXとは何なのかを把握して何を始めれば良いのか分かると思いますのでぜひ最後までご覧ください。
DXの意味、定義について
ビジネスで広く使われるDXの意味は、デジタル技術を取り入れて業務効率化を行い、利益向上を目指すことです。
この考えの元となる経済産業省の「DX 推進ガイドライン」(2018年12月12日時点)によるDXの定義は以下になります。
【「DX 推進ガイドライン」におけるDXの定義:経済産業省】
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
(デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン
(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0より引用) |
しかし上記以外に、社会全体で考えるとDXの意味が少し変わってきます。
スウェーデンのウメオ大学教授であるエリック・ストルターマン教授が提唱したDXの概念をご紹介します。
その内容は、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」(総務省ホームページより引用)という概念です。
例えば、Appleが分かりやすい例になります。
元々はガラパゴス携帯と呼ばれた携帯電話を、iPhoneという新しい形で提供し始めたにすぎませんでした。
ところが、iPhoneの普及はいつの間にかどこでも気軽にインターネットと繋がれる環境を生み出し、私たちの生活を変えていました。
これは、まさに新たなサービスの提供により人々の生活をより良く変化させた事例と言えます。
DX化に取り組んでいる企業の例
DXの意味が分かったところで、これにより得られるメリットと実際にDXに取り組んだ企業の事例をご紹介します。
DXで得られるメリットは以下になります。
- コスト削減
- 業務改善
- 新しいビジネスモデルが開発できる
大まかなメリットを確認したところで、具体的な事例を実際に見ていきましょう。
事例1 株式会社アイデンの「IWS」の例
制御盤メーカーの株式会社アイデンが製造工程のデジタル化に取り組み、業務改善を行った事例になります。
こちらの会社は「一人の製造担当者にかかる業務負担が大きい」や、「経験やスキルが必要な作業は人材育成に時間を要するため作業を簡素化したい」などの課題を抱えていました。
その課題への取り組みとして、作業をデジタルで可視化・標準化するために、IWSというデジタル化ツールを開発し導入しました。
これによって、一部作業の機械化や作業量の明確化により材料必要量の事前把握が可能になりました。
また、作業の標準化によって海外の新規拠点への進出も可能にしています。
この事例の場合、今はまだDXの実現ではなく、デジタイゼーションというアナログ作業をデジタル化するDX導入の初期段階と言えます。
事例2 ヤマトホールディングス株式会社の「YAMATO NEXT100」の例
ヤマトホールディングス株式会社がDX導入で経営構造改革を行った事例になります。
宅配サービスに対する需要が増す現代社会において、その配達を行う人員不足が大きな課題となっています。
同社は、その課題に対応するため、データ分析やAIの活用によって業務内容を改善し、セールスドライバーがお客様とのコミュニケーションに費やす時間を増やす改革を行っています。
これは、テクノロジーを利用して業務改善を行いつつ、人とのふれあいに焦点をあてたDXの事例になります。
DXの導入プロセス
ここまでの内容を見ていると、DXを導入するには何か大きな改革を起こさないといけないとつい考えてしまうかもしれません。
しかし、出来もしない大きな理想を掲げる必要はありません。
導入のコツは、いきなり大きく始めるのではなく、小さく身近から取り組み始めることにあります。
このことを踏まえた上で以下のプロセスを参考にDX導入を検討するのがおすすめです。
1.課題を探す |
2.施策を考える |
3.実行する |
4.最初の工程に戻る |
現在行っている業務 内容を可視化して無 駄を見つけ、課題を 考える。 |
課題解決のための策 を考える。 |
解決策を決めたら、必要 に応じて業務のデジタル化を行う。 |
1つの課題を解決して終わ りではなく、新たな課題を 見つけておなじサイクルを実行する。 |
DXはデジタルを手段として活用すること
いかがでしたか?DXはデジタル化が目的ではなく、あくまでも手段としてデジタル技術を利用して現状改善することだとわかりました。
さらにDX導入は企業全体だけでなく、続けていくことで社会全体が好転するきっかけになるかもしれません。
まずはチーム規模で始めて実例を作り、会社全体が動き出す日が来るような一歩を踏み出してはいかがでしょうか?
<参考・引用サイト>
経済産業省『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』
経済産業省『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0』
総務省『平成30年版 情報通信白書』
経済産業省『製造業DX取組事例集』
ヤマトホールディングス株式会社『経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定』
『いちばんやさしいDXの教本 人気講師が教える ビジネスを変革する責めのIT戦略』 (書籍)