リモートワークの次はメタバース空間へのバーチャル出勤が当たり前に? メタバースが働き方に与える影響とは?
米Facebook社は2021年10月28日、同日付けで社名を「Meta」(登記上の正式名は「メタ・プラットフォームズ」)に変更し、今後メタバース事業に約100億ドル(約1.1兆円)投資していく計画を発表しました(*1)。
インターネットの次の段階といわれ、テクノロジーやビジネスの世界でバズワードとなり、ふたたび注目を集めているメタバース。この記事では、その定義や事例、再燃している背景、そして働き方に与える影響について、わかりやすく解説します。
メタバースとは?
メタバースとは「インターネット上で同時に多人数が接続し、アバターなどを介して交流や仕事など実社会に近い社会・経済活動が可能な仮想空間のこと」(*2)と定義されます。インターネットに比べ、ユーザーがより没入感を感じられるのもその特徴のひとつです。
メタバースという言葉が最初に登場したのは1992年。同年に発表された、SF作家ニール・スティーヴンスンの作品『スノウ・クラッシュ』内で架空の仮想空間サービスに付けられた名前で、英語の「超(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語です。
代表的な事例としては「Second Life」(2003年)、コロナ禍でユーザー数が激増した「フォートナイト」(2017年)、発売直後から大人気となった「あつまれどうぶつの森(2020年)などが挙げられます。
30年前にはじめて登場したメタバース、なぜいま再燃?
上述したように、メタバースは新しく生まれた概念ではなく、はじめて登場してから30年附近経過しています。なぜ今になって再度注目を集めているのでしょうか?
大きな要因としては、コロナ禍による環境変化に伴い、ビジネス・社交・娯楽・イベントなどのオンライン化が一気に進んだことが挙げられます。コミュニケーションのあり方が急激に変わったことにより、メタバースがより広い範囲で受け入れられやすい土壌が整ったともいえるでしょう。
また、メタバースをめぐる技術の進化の目覚ましさもその勢いを後押ししていると考えられます。
PC機器のハイスペック化はもちろん、ネットワークのスピード化・大量化、そしてVRやAR(拡張現実)の技術発達によって、より現実世界に近づけたデジタル空間が実現可能となり、メタバース空間における体験の質は飛躍的に向上しています。
また、仮想空間内で行われる経済活動を支える技術も発展しており、なかでも、数億円という価格がつくデジタルアートが登場するなど、NFTと呼ばれる「非代替性トークン(non-fungible token)」は特に注目を浴びています。
NFTとはセキュリティに優れたブロックチェーン上に構築されるデジタルデータの一種で、従来のデジタルデータと異なり、記録の改ざんが非常に難しく、代替不可能と考えられています。
メタバース空間内での経済活動はこれまでもありましたが、NFTの活用によりその安全性が確保されれば、さらに規模が拡大していくでしょう。
こうした環境変化や関連技術の進化により、これまではオンラインゲームが主な事例となってきましたが、今後はより幅広いシーンでのメタバースの活用が予測されています。そのひとつが米メタ社(旧Facebook社)が今年8月にリリースした「Horizon Workrooms」(仮想ワークルーム)のように、ビジネスの現場での活用となります。
メタバースが働き方に与える影響とは?
コロナ禍ではリモートワークが一気に普及しましたが、リモートワーク化が進むにつれ、その課題点も明らかになってきました。柔軟な働き方の実現やコスト削減が見込める一方、社内コミュニケーション量の激減による効率の悪さや孤独感、公私の区切りのつけにくさなどがあり、長期的な影響が懸念されています。
そうした課題の解決手段になるのではないかと期待されているのが、リモートワークの次の段階と位置付けられている、メタバースを活用したバーチャルオフィスです。
バーチャルオフィスとは仮想オフィスとも呼ばれ、仮想空間に擬似的なオフィスを構築し、オンラインで社員とコミュニケーションを行う仕組みを指します。
チャット・ビデオチャット・音声チャットなどのコミュニケーション、画面・資料共有、座席・ルーム設定機能などが備わっています。
メタバースを活用したバーチャルオフィスだとユーザー(従業員)がアバター姿でバーチャル出勤したり、近くにいるアバターに直接話しかけることもできます。
米メタ社(旧Facebook社)の「Horizon Workrooms」では、ゴーグル型VR端末や付属コントローラーを利用し、右側に座るユーザーの声は右側のスピーカーから聞こえたり、身ぶり手ぶりによる会話が可能です。
このように、メタバース空間では技術やツールを活用することで、より現実のオフィスに近い体験ができるといわれています。
まとめ
いまはまだオンラインゲームの印象が強いメタバース、今後はバーチャルオフィスのほか、娯楽や社交といったあらゆる場面での活用が進むかもしれませんね。親しい同僚や友人のアバター姿には馴染みがあっても、実物には会ったことがない、なんてこともあるようになるのかもしれません。
<引用先>
*1:Facebook、社名を「メタ」に変更 仮想空間に注力
*2:メタバースとは 関連企業や最新ニュースも | 日経テレコン
<参照ウェブサイト>
・Roblox CEO Dave Baszucki believes users will create the metaverse
・情報BOX:メタバースとは何か IT、ビジネスでにわかに流行
・Facebook、社名変更を計画か。「メタバース」企業としてリブランド
・いまさら聞けない「メタバース」 いま仮想空間サービスが注目される“3つの理由”
・フェイスブックが目指す次世代SNS、メタバースとは | JDIR
・メタバース(仮想空間)とは?意味と仮想通貨・NFTとの関連性を徹底解説 | Media Argo(メディア アルゴ)
・仮想オフィスはテレワークで必要?仮想オフィスがテレワークに効果的な理由 | ビジネスチャットならChatwork