コロナ禍の贈り物に「デジタルギフト」という選択
まだ見通しのつかない不安が続くコロナ禍
日本でも猛威を振るい、未だ油断のできない状況が続く新型コロナウィルス感染症。昨年の第一波以来、私たちの生活に大きな影響を与えました。
マスクと手洗いが不可欠となり、どこへ行ってもアルコールなどの消毒が出入口に常設されるようになりました。
店舗の時短営業やテレワークの推奨などにより、出勤や労働スタイルも変化しています。
緊急事態宣言では不要不急の外出は控え、スーパーへの買い出しなども最低限の人数で行動することが求められ、日によっては店舗への入場制限が設けられることも。
県をまたいでの遠出や帰省などの移動も制限され、夏休みも年末年始も、どこへも行かずに家で過ごしたという人も少なくないでしょう。
日本でも医療従事者をはじめとし、順次ワクチン接種が進んでいますが、リスクを感じずに「会いたいときに会いたい人と会える」「みんなで集まれる」となるのは、まだ少し先になるようです。
贈り物の売り上げはどう変化した?
「移動できない、人と会えない」といったコロナの状況下により、ギフト市場にも変動がありました。
矢野経済研究所の調べによると
〝2019年の国内ギフト市場規模は小売金額ベースで、前年比100.9%の10兆6,917億円、2020年は同92.4%の9兆8,840億円を見込む。″
とのこと。(*1)
新型コロナウィルス感染症が騒がれはじめたのが2019年の12月半ばです。
日本で感染者が複数人確認されたのが2020年の1月下旬。
こうしてみると、やはりギフト市場もコロナによる打撃を受けているのが見てとれます。
具体的な要因としてはまず、冠婚葬祭などの人が集まるイベントが一気に減少し、行われた場合でも最低限の人数での小規模なもののみとなりました。
そのため、引き出物などのブライダルギフトをはじめとした「フォーマルギフト」と呼ばれる贈り物の需要が減ったことが大きいようです。
また、店舗や企業が主催するキャンペーンなどのイベントも軒並み中止を余儀なくされました。
そこで配られるはずだった記念品やノベルティなどが無くなったことも、市場の売り上げダウンの一因と考えられます。
今の世情に最適なギフトの形とは
コロナにより人が集まる機会が減り、ギフト市場の売り上げが減少したとはいえ、社内外での年間行事や顧客への特典としてなど、ギフトを活用したい場面は数多くあります。
そこで注目されているのが「デジタルギフト」です。
その特性から「ソーシャルギフト」と呼ばれることもあります。
相手の住所などがわからなくても「手軽に、すぐに」贈ることができる、ギフトの新しい形です。
アジアでは韓国などですでに定着しているサービスです。
日本ではここ数年で注目されはじめ、このコロナ禍でさらに関心が高まっています。
贈り方は、メールやLINE、TwitterなどのSNS経由で、受け手のスマートフォンに専用のURLを送信します。
受け手は、URLから商品交換用のバーコード等をスマートフォンの画面に表示して、店舗で商品と交換したり、自分で住所等を入力して配送で贈り物を受け取ったりすることができるのです。
贈れるギフトはさまざまですが、100円台のコンビニスイーツから10万円分のギフトカードまで800種類以上、食品や雑貨といった商品から体験型のものなど多岐にわたり、今後もさらに充実していくことが予想されます。
また、送り先住所などの個人情報、配送の手配や送料、ギフトの在庫管理といったものが必要なく、大幅なコストカットと負担削減が見込めるため、キャンペーンなどのプロモーションにも適しています。
先頃では百貨店がこのデジタルギフトを活用して、オンラインサイトでバレンタインギフト特集を展開していました。
商品だけでなく、無料でデジタルメッセージカードを添えることができ「買いに行けない」「渡せない」という状況の中でも、気持ちを届けたいという顧客の想いを汲む工夫が見られました。(*2)
デジタルギフトは足を運ばずとも数多くの商品から、メールやSNSでギフトを受け渡しできるという利便性が最大の特徴です。
それに加えて個人情報が必要なく、このコロナ禍では対面しないで済むという点でも、これまでの「デジタル=味気ない」というイメージを覆し「安心」「思いやり」といった気持ちもプラスされるギフトではないでしょうか。
送り手、受け手ともにさまざまな制限を気にせずに楽しめ、まさに昨今のニーズにマッチした最適な贈り物の形として、会えずとも人と人とを繋ぐサービスとして、日本でも今後さらに発展していくことが予想されるデジタルギフト。
まずは、決起会や全社会などなかなか集まることができない今の状況下での、社内インセンティブや社員への福利厚生、株主優待などといった形で、取り入れはじめてみてはいかがでしょうか。
「テレワークのランチ代としてクーポンを」「目標を達成したらデジタル商品券を」と、それぞれのリフレッシュなどに利用してもらう、会えずとも士気を高めて結束を強める、といった目的に合わせて商品を設定することができます。
そうして自分たちの実体験をもとに、デジタルギフトを活用した顧客向けのマーケティングやプロモーションの試案を出し合うのもおもしろいかもしれませんね。
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<参照サイト>
*1:
(株)矢野経済研究所「ギフト市場に関する調査(2020年)」2021年1月27日発表https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2637
*2:
Adver times.
https://www.advertimes.com/20210202/article337866/