SNSマーケティングを成功させるためのKPIとキャンペーン戦略
近年、企業のマーケティング活動において、SNSは欠かせない存在となっています。しかし、多くの企業がフォロワー数という表面的な指標に囚われ、真の成功から遠ざかっています。
本記事では、SNSマーケティングの成功を定量的に評価するKPIと、質の高いフォロワーとの関係構築を目指すキャンペーン戦略について詳しく解説します。
SNSマーケティングのKPI
SNSマーケティングのKPIはフォロワー数だけではない
SNSマーケティングにおける成功の指標として、よくフォロワー数が注目されますが、それだけが全てではありません。フォロワー数はキャンペーンなどで容易に増減する可能性があるため、あくまで表面的な数値であり、「フォロワー数=成功」という等式は誤解を招く可能性があります。
真の成功は、フォロワーとのエンゲージメント、つまり相互作用の質と深さにあります。そのため、エンゲージメント率などのより包括的で具体的なKPIに焦点を当てることが重要です。
SNSマーケティングの目的とは
SNSマーケティングの最大の特徴は、インタラクティブなコミュニケーションが可能であることです。これは、マスマーケティング、Webマーケティング、SEO・MEO、コンテンツマーケティング、など他の外部集客向けマーケティング施策には無い、SNSマーケティングだけの唯一無二の強みと言えます。
この特性を活かすことで、ただ多くのフォロワーとつながるのではなく、それぞれのフォロワーと強固な関係を築くことが可能になります。つまり、量よりも「質」が第一の目的となります。積極的にブランドと関わる顧客層、すなわち顧客9セグマップの上段に位置する「積極層」の拡大を目指すことが、SNSマーケティングの目標と言えます。
以下のような数値に注目することで、フォロワーの関心度が見えてきます。
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エンゲージメント率:投稿に対するユーザーの関与度
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平均フォロー継続日数:ユーザーがアカウントをフォローし続けている平均日数
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フォロー解除率:一定期間内にフォローを解除したユーザーの割合
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リーチ数:投稿を見た人の数
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クリック率:投稿内のリンクをクリックした人の割合
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コンバージョン率:特定の行動(購入、登録など)をした人の割合
適切なKPI指標
エンゲージメント率
エンゲージメント率は、フォロワーがコンテンツにどれだけ積極的に反応しているかを示す重要な指標です。これは、特定期間内の総エンゲージメント数(いいね、コメント、シェアなど)を総インプレッション数で割ることで計算されます。
<エンゲージメント率の計算方法>
エンゲージメント率=(いいね数 + コメント数 + シェア数)/ リーチ数 × 100
<業界標準>
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Facebook:5~10%
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X(Twitter):0.5~1%
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Instagram:2~3%
<エンゲージメント率向上の施策>
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興味を引くコンテンツ投稿
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ユーザーとの積極的なコミュニケーション
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質問やアンケートによる双方向の交流
- プレゼントやキャンペーンの実施
平均フォロー継続日数
平均フォロー継続日数は、フォロワーがどのくらい長くブランドと関わっているかを示す指標で、アカウントの質やフォロワーの満足度、ブランドへの忠誠心や関心の深さを測るために追跡します。
<平均フォロー継続日数の追跡方法>
SNS分析ツールなどを利用して、フォロワーのフォロー開始日と解除日を記録することで追跡できます。
<平均フォロー継続日数向上の施策>
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質の高いコンテンツ投稿
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ユーザーのニーズに合わせた情報発信
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定期的なキャンペーンやイベント開催
- ユーザーとの積極的なコミュニケーション
フォロー解除率
フォロー解除率は、一定期間内にフォローを解除したユーザーの割合です。アカウントの質やフォロワーの満足度を測る指標として重要です。フォロー解除率が高い場合は、コンテンツ内容や配信頻度を見直すなどの改善策が求められます。
<フォロー解除率の計算方法>
フォロー解除率 = (解除数 / フォロワー数) × 100
<フォロー解除率低減の施策>
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質の高いコンテンツ投稿
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ユーザーのニーズに合わせた情報発信
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アンケートや質問によるユーザーの意見収集
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ユーザーとの積極的なコミュニケーション
これらのKPIを適切に選定し、目標達成に向けた具体的な施策を立てることで、SNSマーケティングの成果を最大化することができます。業界標準やベンチマークと比較しながら、自社の目標に合わせたKPIを定めることが肝心です。そして、これらの指標を定期的に分析し、戦略を継続的に最適化していくことが、SNSマーケティングにおける成功への鍵となります。
SNSキャンペーンの有意性
では、フォロワー獲得のために行うSNSキャンペーンの有意性とは?と問いたくなるかもしれません。
結論としては、「とても重要」です。但し、効果を最大化させるために押さえておくべきポイントがありますので、以下で解説していきます。
フォロワー数を増やすSNSキャンペーンも重要
例えフォロワーと深く、良質な関係性を築けていても、フォロワー数がわずかでは、ブランドの魅力は多くのユーザーに知られないままということになってしまいます。結果、売上向上にも繋がりません。
SNSキャンペーンにおいて、フォロワー数の増加はブランドの視認性を高める上で重要な役割を果たします。フォロワー数が多いということは、それだけ多くの人々がブランドのメッセージを見ているということを意味し、結果的に新しい顧客へのリーチや既存の顧客との関係強化に繋がります。
また、SNSキャンペーンはフォロワー数増加という直接的な効果だけでなく、以下のようなさまざまな間接的な効果ももたらします。
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ブランド認知度向上:キャンペーンを通じて多くの人にブランドを知ってもらう機会が増え、認知度向上につながります
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顧客基盤拡大:フォロワーが増えることで、潜在顧客層を拡大し、新たな顧客獲得に繋げることができます
- 売上向上:キャンペーンで配布したクーポンや割引券の利用促進により、売上向上に貢献できます
SNSキャンペーンについてはこちらの記事で詳しく解説しています。ご参考にしてください。
景品選定のポイント:ターゲットとの繋がり
どんな人と繋がりたいかで景品選定を考えよう
キャンペーンの景品は、キャンペーンの成功を左右する重要な要素であり、単に参加者に与えるプレゼント以上の意味を持ちます。適切な景品は、ブランドと消費者の間に効果的な繋がりを生み出し、長期的な関係の構築に役立ちます。どのような人々と繋がりたいのかを明確にし、その目的に合った景品を選定することが肝心です。
ターゲット層別景品選定
自社商材を知らない、潜在ニーズがない人向け:汎用性がある景品
自社の商品やサービスにまだ馴染みがない層には、汎用性の高い景品を提供することが有効です。例えば、人気のある電子機器やギフトカードなどは、多くの人にとって魅力的であり、ブランドへの初期の関心を引き出すのに役立ちます。このような景品は、幅広い層の注意を惹き、ブランドへの最初の一歩となり得ます。
ケーススタディ)
コスメブランド:汎用性のあるギフト券と自社商品のサンプルをセットで景品として提供し、ブランド認知度向上と顧客基盤拡大に成功
自社商材の購入・利用に至らない、潜在ニーズはある人向け:自社商品の無料券や割引券
一方で、自社の商品に興味はあるがまだ購入に至っていない潜在的な顧客には、自社商品の無料券や割引券を提供することが適切です。これにより、消費者はリスクなく商品を試すことができ、商品の価値を直接体験することが可能になります。この体験は、購入に至る可能性を高め、ブランドに対する信頼を築くきっかけとなります。
ケーススタディ)
旅行会社:旅行券を景品として提供し、潜在顧客層へのアプローチと顧客獲得を成功させた
自社商品のデジタルギフト化で可能性を広げる
デジタルギフト化とは、物理的な商品やサービスをデジタルコードや電子クーポンとして提供することを指します。そうすることで、SNSキャンペーンでの自社商材の活用が容易になります。メリットやプロセスなどを詳しく見ていきましょう。
自社商品をデジタルギフト化するメリット
自社商品をデジタルギフト化するメリットは多岐にわたります。
1. 物理的な制約の排除
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場所や時間を選ばずに贈れるため、キャンペーンの参加ハードルを下げることができます
- 発送の手間や在庫管理、配送などのコストを削減できます
2. 利便性向上
- ギフトコードを発行・送付するだけで簡単に贈ることができます
- 受け取った側は、好きなタイミングで商品と交換できます
3. ターゲット層拡大
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スマートフォンユーザーなど、デジタルギフトを好む層にアプローチできます
- 全国各地、遠方への発送も容易になります
4. 個人情報管理リスクの軽減
- メールやSNSのダイレクトメッセージで送れるため、住所などの個人情報が必要ありません
5. 環境負荷軽減
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紙やプラスチックなどの梱包材を使用しないため、環境負荷を軽減できます
デジタルギフト化の手順
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デジタルギフト化サービスの選定:各サービスの特徴や手数料などを比較検討し、自社のニーズに合ったサービスを選びます
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商品情報の登録:商品名、説明、画像などをサービスに登録します
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ギフトコードの発行:サービスによって、ギフトコードの種類や発行方法などが異なります
- キャンペーンの運用:景品としてデジタルギフトを提供するキャンペーンを企画・運営します
おすすめのデジタルギフト化サービス3選
デジタルギフト化サービスにはさまざまなものがありますが、ここでは特に注目されている3つのサービスを紹介します。
デジタルギフトメーカー(mafin マフィン)
マフィンは利便性とカスタマイズ性に優れたデジタルギフトプラットフォームです。mafinのデジタルギフトメーカーは、何件デジタルギフトを発行しても、発行手数料が無料。初期費用もかからないため導入しやすいのが魅力です。また、独自のギフトコード発行システムにより、セキュリティ対策が充実しています。
モバイルクーポンシステム(SBギフト)
SBギフトのモバイルクーポンシステムは、クーポンの利用実績ログを蓄積でき、データを以降のマーケティング活動に活⽤できます。また、割引クーポンとしてだけでなく、入場チケットのような使い方も可能なため、SNSキャンペーンだけでなくイベント等にも活用することができます。
eGift System(giftee)
ギフティが提供するeGift Systemは、店頭で引き換えることのできるデジタルのギフトチケットの生成と、そのギフトチケットを自社サイト上で販売できるシステムです。豊富なオプション機能により、キャンペーンの目的に合わせた運用が可能です。
これらのサービスを選定する際には、提供されるギフトの種類、利便性、セキュリティ、価格などを比較し、自社のニーズに最も合ったサービスを選ぶことが重要です。また、導入事例を参考にし、成功している企業の事例から学ぶことも有効です。
ターゲット別に景品選定されたSNSキャンペーン事例
キッザニア
キッザニアは子どもたちがさまざまな職業体験をすることができるテーマパークです。
キッザニアでは定期的にSNSキャンペーンを行っており、ターゲットである子どもやその家族が活用できるオリジナルグッズ(汎用性のある景品)と、入場チケット(自社商品)とをそれぞれ景品にして開催しています。どちらも、子供向けの体験型サービスであるため、ターゲット層に合わせた景品を選定しています。
そのほかにも、SNSでフォトコンテストを開催し、参加者がキッザニアでの体験を写真と共にシェアするなど、ユーザー参加型のSNSマーケティングを積極的に行っています。
ディズニーストア
ディズニーストアは、ディズニーキャラクター商品の販売を行う公式店舗です。
バレンタインには、人気のチョコレートブランドとコラボした商品が当たる(汎用性のある景品)キャンペーンを行いました。
別のキャンペーンでは、アカウントをフォローし、指定の投稿をいいね&コメントすることで、抽選でプレゼントが当たるというものでした。こちらはディズニーストア限定グッズという希少性の高い景品(オリジナルグッズ)でファンを魅了し、コメントを求めることで、ユーザーとのコミュニケーションが活性化しました。
これらの事例から学ぶべきポイントは、ターゲットとする顧客層やブランドの目的に合わせた景品の選定が成功のカギを握るということです。
自社のブランドイメージやマーケティング目標に合った景品の選択、そしてSNSを活用したエンゲージメントの創出に重点を置くことが推奨されます。
まとめ
本記事では、SNSマーケティングの成功へ向けて、重要なKPIの設定方法、効果的なプレゼントキャンペーン戦略、そして自社商品のデジタルギフト化の活用について解説しました。
この記事で紹介したポイントや事例を参考に、自社の商品やサービスに合ったSNSマーケティング戦略を構築し、効果的なキャンペーンを企画しましょう。