SNSマーケティングとは？ 〜運用のポイントと使い分け〜

SNSマーケティングの戦略は「目的の明確化」「ペルソナ設定」「目標値の設定」という3つの柱ともいうべき要素から成り立ちます。今回の記事ではこの3本柱をわかりやすくご紹介し、それをもとにしたコンテンツ作成からSNS運用のポイント、マーケティングにおけるSNSの具体的な活用方法などを解説していきます。

SNS運用戦略の3つの柱

SNS運用戦略においては、以下の3つの要素が重要です。

• 目的の明確化
• ペルソナの設定
• 目標値の設定

それぞれを見ていきましょう。

目的の明確化（運用方針の決定）

まずはSNS運用方針の決定の意味で、「目的の明確化」を図ります。どのプラットフォームで、どんな目的でアカウント運営をするか？そして何を達成したいのか、どのようなメッセージを伝えたいのかを具体的に定めることです。

具体的にはブランド認知度の向上、製品やサービスの販売促進、顧客との関係構築など、多岐にわたる目的が考えられます。また、コンセプトメイキングやKGI（重要目標達成指標）の設計なども重要です。

目的を明確にすることで、投稿の内容、ターゲットとするオーディエンス、使用するプラットフォームの選択が容易になります。また明確な目的は、SNS運用の方向性を定め、時間やリソースを効果的に活用するのに役立つでしょう。

関係者全員が､ SNSおよび各プラットフォームのメリットやデメリットを正しく理解しつつ、自社アカウントをどのような方向性で運用すべきかを決定します。

ペルソナ設定（ターゲットと競合分析

次にターゲット競合分析の一環で、「ペルソナ設定」を行います。ペルソナとは、代表的な顧客像のことです。SNSにおいて、 ｢誰に｣ 向けて発信するのかを決めるのは、極めて大事な要素といえるでしょう。

ペルソナ設定は、顧客に最も響くコンテンツを提供するために有益です。ペルソナは、年齢、性別、職業、興味・関心事など、具体的な特徴で構成されます。

どういったユーザーをターゲットとして、エンゲージされやすい投稿を行うかを検討するために欠かせません。競合分析と差別化を図る重要プロセスです。

休日の過ごし方や抱えている課題感など、できるだけ細かく設定をするほうがベターです。このプロセスは、ターゲットオーディエンスのニーズや挑戦、好みの理解のために欠かせません。

ペルソナの設定精度が高いほど、投稿方針が検討しやすく、狙いたいユーザーに刺さる投稿内容やコンテンツが構築できます。また、競合分析による自社の強みの再認識と差別化を図るためにも寄与するでしょう。

このように、ペルソナを設定することで、メッセージやコンテンツがターゲットオーディエンスに適切に届き、より高いエンゲージメントを達成できます。また、ペルソナはキャンペーンを設計する際の基盤ともなるでしょう。

【ペルソナ項目例】

• 名前
• 年齢
• 居住地
• 職業と年収
• 趣味
• 休日の過ごし方
• 家族構成
• 社会的役割
• 個人的役割
• その人のゴール
• 抱えている課題感
• よく閲覧する媒体
• 普段使っているSNS
• SNSを使う頻度
• よく使うアプリケーション
• よく読む雑誌
• よく見ているWebサイト
• 身体的特徴
• 性格的特徴

【ペルソナ設定のポイント】

ペルソナは一旦作ったら終わりではありません。時代の推移や経済・社会環境の変化、自社のコンセプトの変更などでペルソナも見直さなければなりません。作りっぱなしにするのではなく定期的に見直しましょう。また、詳細まで決めることで運用者間での認識のずれをなくす効果があります。

目標値の設定（SNSの運用管理）

最後にSNSの運用管理のための「目標値の設定」を行います。SNS運用の成果を測定し、戦略を適切に調整するために重要です。目標値は、フォロワー数の増加、エンゲージメント率の向上、ウェブサイトへのトラフィックの増加など、具体的な数値で示されます。

フォロワー数やエンゲージメント率のほか､ 想定される流入数目標を決定してユーザー分析に活かすことが重要です。また、KPI（重要業績評価指標）の設定とも密接に関わるフェーズです。

目標値を設定することにより、運用の効果を定期的に測定し、必要に応じて戦略を変更できます。また、長期的な目標と短期的な目標を設定することで、進捗を追跡しやすくなり、戦略の成功率を高められるでしょう。

ロードマップを作成して投稿の運用を実行し、投稿作成から承認、 投稿までの作業とリスクを管理する仕組みを構築します。

【関連記事】

SNSマーケティングのメリットやキャンペーンのヒントについては、以下の記事で詳しく取り上げています！そちらも参考にご覧ください。

コンテンツの作成のポイント

SNS運用戦略の3つの柱にもとづき、コンテンツを作成します。コンテンツ作成においては。「4：4：3：1」の法則にのっとるのが成功の近道です。そしてインプレッション数を上げる4つの要素を意識することで、さらにユーザーの注目を惹くことができます。

ここでは「4：4：3：1の法則」とインプレッション数を上げる4つの要素について見ていきましょう。

4：4：3：1の法則

「4：4：3：1の法則」とは、投稿がユーザーを惹きつけるために必要な、トピックの適切なバランスを表現しています。

① 実績 ② お役立ち情報 ③ 多面性 ④ 告知

上記の4トピックが4：4：3：1の割合であると、ユーザーに見てもらいやすくなります。また、あらかじめそういうバランスになるよう決めておくことで、 日々一から考えるような手間を省きつつ、効果的な投稿が可能です。

コンサルティング業界を例に挙げてみましょう。

① 実績＝4割

例）

• ユーザーの半数以上がリピーター
• 独自のツールを開発!
• 導入実績〇〇〇社!
• お客様満足度〇〇%
• 投稿比率

② お役立ち情報＝4割

例）

• スプレッドシート5つの活用術
• 〇〇業務内製化3つのポイント
• プレゼン成功の7つのステップ

③ 多面性＝3割

例）

• 他業界の注目すべきニュース
• 社員の日常の面白い出来事
• 出勤5分前も余裕！曜日別コーディネート

④ 告知＝1割

例）

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インプレッション数を増やすための4つの底上げ

投稿が見られるためにはトピックとはまた別の角度で、以下の4つの底上げが求められます。

• 投稿の改善
• ユーザーとのコミュニケーション
• インフルエンサーの起用
• キャンペーンの展開

投稿内容のクオリティを常に改善する、ユーザーとのコミュニケーションをはかる、インフルエンサーを活用する、タイムリーなキャンペーンを打つ、といった上記4点の底上げをすることで、インプレッションの向上を狙いましょう。

インプレッションが上がらなければ、売上につながらないので、フォロワー数以上にインプレッション数などの数値を見ていくことが大事です。

たとえばLINEと連携している企業や店舗なら、見るべき数値は「売上」「来店数」「DM数」「インプレッション数」となります。各SNSで同様に重要な数値を追跡し、ここでご紹介した4つの底上げに活かしましょう。

SNS運用担当者に求められる5つの資質

SNS運用を任せるべき、組織内の担当者には以下の5つの資質が求められます。

• 分析力
• 継続力
• コミュニケーション能力
• コンテンツ企画力
• 運用知識

分析力は戦略の立案と遂行に必要です。また、SNS運用は長期志向のため継続力も欠かせません。コミュニケーション能力とコンテンツ企画力は運用のノウハウとして求められます。運用知識は運用の土台となるものです。

SNSの運用を検討している企業の責任者のみなさんが、社内の誰にSNS運用担当者を任命すべきか検討する際には、これら5つの要素をカバーでき、なおかつ「やる気」を感じさせる人材を抜擢するのが賢明でしょう。

やる気がある人材であれば、5つの資質をブラッシュアップすることはそう難しくありません。逆にもともとそれらの資質を備えていたとしても、やる気のない人に任せてしまうと、ダイナミックな展開は期待できません。

SNSの機能使い分けと具体的な活用方法

SNS運用は、複数の機能を上手に使い分けるのが成功のコツです。ここではSNSごとの機能の使い分けと、具体的な活用方法について見ていきましょう。

Instagram（インスタグラム）の場合

まずはビジュアル重視のSNSとして急拡大したInstagram（インスタグラム）。ファッション業界や美容業界、飲食業界の企業や店舗が競うように運用を展開し、現在ではさまざまな分野に広がっています。

ここではInstagram（インスタグラム）の5つの機能の意味と使い分け方、表示順位を決定するアルゴリズムの認識の重要性、4種類のハッシュタグの活用方法、コミュニケーションの手段としてのストーリーズ、そしてABテストの重要性について解説します。

Instagram（インスタグラム）の5つの機能の使い分けと活用方法

Instagram（インスタグラム）で主に使い分ける機能は、以下の5つです。

• フィード（正方形の写真）
• ストーリーズ（24時間で消える投稿）
• リール（縦型ショート動画）
• ハイライト（ストーリーズのまとめ）
• ショップ機能

「認知層」に関してはリールで、「興味層」になればプロフィール、さらに興味を持ってもらうためにフィード投稿によって「比較層」に入ってフォロー、「記憶層」に育てるためにストーリーズです。

これを活用する例としては、仮に潜在顧客との接点が持てないなら認知層を増やす必要があるのでリール投稿に力を入れ、どんどん更新するのがよいでしょう。

また、逆にファンはある程度ついているけれど、なかなか売上につながらないのなら、記憶層を増やす必要があるのでストーリーズに注力するのがベターです。

どの機能を使うのがいいかは、求めるユーザーのフェーズによって使い分けをしないといけません。

表示順位を決める5つの要素を認識しよう

Instagram（インスタグラム）の表示順位を決めるアルゴリズムでは、Instagram（インスタグラム）に対する貢献度によって表示の優先度が変わります。

それには現在、以下の5つの要素があるとされています。

• Instagram（インスタグラム）の投稿の保存数（率）が多い （高い）
• プロフィールの閲覧時間が長い
• いいねの数（率） が多い （高い）
• コメントの数（率）が多い（高い）
• 投稿に対しての滞在時間が長い

加えて最近では、いいね重視ではなく保存重視に移行してきています。いいね重視というのは、「かわいい！」「綺麗」「カッコいい」などの「インスタ映え」をねらう投稿です。一方、保存重視の投稿は「ためになる」「後で見返したい」などのリアクションをねらっています。

4種類のハッシュタグを活用

Instagram（インスタグラム）の場合、ハッシュタグがすごく重要です。ハッシュタグは以下の4つにわかれてます。

• オリジナルハッシュタグ
• 見つける用ハッシュタグ
• コミュニティ用ハッシュタグ
• 拡散用ハッシュタグ

それぞれの特徴は以下のとおりです。

【オリジナルハッシュタグ】

ブランド名、キャンペーン名など独自に生み出したハッシュタグ

【見つける用ハッシュタグ】

「#エリア〇〇」「#季節〇〇」など名詞単体でなく、単語と単語を組み合わせたハッシュタグ

例）#冬スイーツ　＃渋谷ファッション　＃京都グルメ

【コミュニティ用ハッシュタグ】

「#〇〇な人と繋がりたい」「#女子」などInstagram（インスタグラム）内だけで使われる独自のコミュニティ用のハッシュタグ

例）#スノボ好きな人と繋がりたい ＃自炊男子

【拡散用ハッシュタグ】

名詞単体（基本的に1語）で投稿数が多く投稿されているハッシュタグ
では適切なハッシュタグを、どうやって探せばよいのか？ひとつの方法として「タグ検索」があります。

スマホからInstagram（インスタグラム）アプリを起動し、当事者のジャンルや投稿の内容に関連するワードを入れて「タグ検索」を行えば、人気があるハッシュタグがInstagram（インスタグラム）のジャッジで出てきます。

ストーリーズはコミュニケーションの手段

ストーリーズではたとえばユーザーからの投稿をリポストしたり、自社サイトへのリンク設定などができます。また、質問やアンケートをする機能も有効です。

選択するだけのアンケートなのか自由回答なのかで、いわゆるコミュニケーションハードルに違いはあります。ユーザーにとっての回答の難易度の違いです。

コアなユーザーとつながりたいなら自由回答、ファンの裾野を広げたいなら簡単な選択式というように、使い分けることで、ストーリーズはコミュニケーションツールとして活用できます。

ABテストの重要性

ABテストとはA案とB案など複数の施策を小規模で並行して実施し、その結果を見て大規模な施策に活かす考え方です。

Instagram（インスタグラム）においては、基本的に同じ内容の動画を、「構成」「構図」「音楽」「フォント」「色使い」「尺の長さ」などを変えたもの2つで、どちらが効果的かを比較するのに使います。

X（旧Twitter）の場合

2023年7月に「Twitter」から「X」に名称変更したSNSです。「ツイート」は今後「ポスト」と呼ばれるようです。また、名称だけでなく、機能面でも新しくなっており、特に「Xプレミアム」というサブスクサービスに注力しています。

通常1日に5,000件までしか見れないのが、「Xプレミアム」に入会すると閲覧可能回数が1日に10,000件まで伸びるのが、目立った特徴です。

投稿で意識すべき16の熱量とは？

SNSマーケティングとして「X」はまだまだ利用価値はありますが、そもそも表示をさせないと前に進みません。表示をさせるためには、定量ならびに定性による分析によって、リポストしたくなる「16個の熱量」があることを突き止めたとX.comは公表しています。

以下の16の熱量に当てはまる投稿が、表示されやすくなるということです。

• 直感で拡がる熱量：「WOW」「FUN」「楽しい」「尊い」「癒し」「感動」「ショック」
  
• 知識で拡がる熱量：「知っトク」「注意喚起」
  
• 主張で拡がる熱量：「同調」「物申す」
  
• 納得で拡がる熱量：「あるある」「真理」
  
• 声援で拡がる熱量：「応援」「支援」
  
• 欲求で拡がる熱量：「WANT」「インセンティブ」

出典：世界初公開「#拡散の科学」なぜ人はリツイートするのか？｜X.com

XもInstagram（インスタグラム）と同様に、ユーザーのフェーズによって使う機能が異なります。認知層に関してはこの16の熱量を盛り込んだポストで、興味を持ってもらいましょう。

ファンとなったユーザーとの距離を縮めるのには、リプライへの返信が有効です。

ユーザーのフェーズと使うべき機能

Xに関してユーザーのフェーズと使うべき機能、その際のポイントなどを一覧表で示しますので、参考にしてください。

【関連記事】

X（旧Twitter）を活用したインスタントウィンキャンペーンについては、以下の記事を参考にしてください。

SNSにおけるユーザーコミュニケーションのコツ

SNSは今や、ビジネス上でのユーザーコミュニケーションツールとして欠かせないものです。ユーザー間の効果的なコミュニケーションは、関係構築の鍵となります。しかし、これを実現するには特定のスキルが必要です。ここでは、SNSでの成功したコミュニケーションに必要な4つの要素を解説します。

積極的に！しかし「一方通行」は失敗の元

積極的なコミュニケーションは、SNSでの関係構築に欠かせません。しかし、一方的なコミュニケーションは、相手にとって魅力的ではありません。

双方向の対話を心がけることで、より深い関係が築かれます。相手の投稿に対して、質問や感想を通じて関与することが重要です。

また、自分の意見や体験を共有する際には、相手の関心や価値観を考慮することが大切です。これにより、共感や理解を得やすくなります。

単純接触効果を利用してファン化を後押し

単純接触効果とは、何度も何度も繰り返し接触することで、その対象に対する好意が高まる心理効果です。SNSでは、定期的な投稿がフォロワーの興味を引く鍵となります。

視覚的に魅力的なコンテンツや、ユーザーの関心事に沿った内容を提供することが重要です。これにより、フォロワーはより一層あなたのページに惹かれるようになります。

また、フォロワーとの対話を通じて彼らの意見や要望に耳を傾け、コンテンツの改善に役立てることも大切です。これにより、ファンとのつながりが強化されます。

ユーザーコミュニケーションの頻度とアクションの基準

コミュニケーションの頻度は、SNSでの成功において重要な要素です。過度な投稿はフォロワーにとって煩わしいと感じさせる可能性があります。

一方で、あまりに少ないと、フォロワーは関心を失いやすくなりがちです。適切な頻度を見つけることが、効果的なコミュニケーションの鍵となります。

また、どのようなアクションを取るかも重要です。フォロワーの興味や好みに応じて、コンテンツを調整することで、より多くの接触を促すことができます。

DMの向こう側につなげるアプローチ設計

DM（ダイレクトメッセージ）は、SNSでの深いコミュニケーションを実現する手段のひとつです。個人的なメッセージを通じて、信頼関係を築くことができます。

しかし、DMを利用する際は、相手のプライバシーに配慮し、不快にさせないよう注意が必要です。敬意を持って接することが、良好な関係の基盤となります。

また、DMを通じて特別な情報やオファーを提供することで、ファンの特別感を高めることが可能です。それらのアクションは、より強いコミュニティの構築に寄与するでしょう。

まとめ

SNSマーケティングは、企業や店舗のブランディングと顧客獲得に不可欠なツールです。目標設定、ターゲット顧客の特定、そして明確な運用方針の策定が成功の鍵となるでしょう。SNSを通じたブランド価値の高め方や顧客とのつながりを深める方法が見えてきます。

コンテンツは、魅力的で関連性が高く、かつターゲット顧客に共感を呼ぶものでなければなりません。各SNSの特性を理解し、それぞれのプラットフォームに適したコンテンツを作成することが重要です。また、インプレッション数を増やすための戦略も、ブランドの認知度向上に寄与します。

SNSの戦略的な運用を通じて、顧客と直接的な関係を築くことが可能です。適切なコミュニケーション頻度と方法を見つけ、顧客のニーズに応じたメッセージを発信することが、信頼とロイヤルティの構築につながります。SNSはもはや単なる宣伝ツールではなく、顧客との絆を深め、ビジネス成長のための強力な手段となるでしょう。